elkurin’s blog

銀英伝はいいぞ

ウエストサイドストーリー考察

Westside Story in Stage Around 2回目を観に行った。今回は考察を書いてみる。テーマはシャーク団とジェット団の比較。

 
シャーク団はベルナルドがボスではあるが、意見の代表をやってるという感じで、そんなに指示出したりメンバー抑えたりしてるシーンはない。全員の意識レベルが同じで自然にリーダーがいる感じ。だからメンバーはガラ悪かったり調子乗ってたりするけど行きすぎたことにはならないし、全員の民度が比較的マシだからトップを失っても組織としても強い。

 

一方ジェット団はすぐキレて暴れたり騒いだりする奴らをリフが1人で押さえつけていて、ダンスパーティーでもドクの店でも決闘の前も、チンピラには釣り合わない民度の高さを実現しようとしている。リーダーを失っても組織化してトニーへの復讐を計画するシャーク団に対して、ジェット団は警察バカにしてふざけてるだけだし、1人で来たアニータには10人くらいでレイプ未遂する始末。殺し合いの決闘の前ですら握手を求めたヤツが治めてたグループとはとても思えない。

 


この組織の差はどこから来たのか考察してみた。

 

  • 環境について。移民としてアメリカにやって来ざるを得なかったシャーク団たちはアメリカではよそ者扱いを受けるからこそ、団員同士の絆は強固。それに、移民として迫害される中自分たちのテリトリーを作る必要があったという生活的理由が非行化の大きな要因と想像され、自ら望んでチンピラピラピラしているわけではなさそう。
    一方ジェット団の面々は、元々アメリカにいた人々であり、シャーク団と違って自分から望んでやっている可能性が高い。また家庭環境も、シャーク団はプエルトリコでは平均的くらいだと思うけど、ジェット団はおそらくマンハッタンの最下層にあたるくらいで、その分民度も低めと予想される。生活レベルは同じだとしても、周りとの比較が本質だから、ジェット団の方が荒んでそう。
  • 次に年齢層。シャーク団の奴らは親元離れてよその国に来ており、またボスの妹に当たるマリアがジェット団のボスの親友と同世代であることからも、年齢層はシャーク団の方が上な気がする。ジェット団の方は、所詮親の元にいる間に遊んでいるにすぎない。
  • そして成り立ち。シャーク団がどうできたかについて明確な描写はないが、ジェット団はある程度劇中に説明されている。曰く、一緒にドクの店で育ったトニーとリフが思いつきで作ってみたが、しばらくしてトニーが大人になると言って離脱したのが、今のジェット団。リフの在り方や年齢からしておそらく以前のリーダーはトニーであり、リフはトニーが辞めてからリーダーになったわけだからまだ日が浅そうで、責任を果たさなくちゃと気負いすぎている。真面目すぎであり頑張っていい団にしようとしているが明らかに感性が他とずれていて、チンピラには不相応な理想を押し付けている感じになっている。それ故に、メンバーもボスに頼りきりになり、いざボスがいなくなると何もできずに悪ふざけしたり不満を発散したりするだけの脆弱組織になっているんだと思う。

 


ところでリフがなぜジェット団に固執するか。

先述の通り、リフはやたら礼儀正しい不良グループを作ろうとしている。めっちゃ敵対組織と握手しようとするし、警察のような権限もない学校の先生っぽい人の指示を無視する団員を諌めて自分は先陣を切って従うし、ダンスパーティーで下品なことしてるカップルを窘めたり、喧嘩の仕方もマナーがいいし、最後の決闘の時も仲間に近づくな!って叫んでるし、普通に不思議。あんまり不良向いてないからやめた方がいいと思う。どういう過去や背景があるかは知らんが、リフのトニー好きは劇中かなり目立つ。ジェット団の暴れん坊を堂々と押さえつけているカリスマ性があるのに、トニーの前では完全に弟分で何かあればすぐトニートニー、一緒に来てくれると分かった時の喜びようは無邪気な子供そのもの。守りたいこの笑顔。そのトニーと作ったジェット団と、その仲間たちと守っているシマはおそらくリフの全てであり、本来の性格とかにかかわらず執着し続けるんだと思う。シンプルにトニーの方が賢くて、リフは視野が狭いガキかつ仲間想い。こういう視野が狭くて不器用な真面目くんが俺は大好きなんや~~

ちなみにここからは個人的見解だけど、来日公演版のリフはかなり綺麗。言葉使いはノーブルなアメリカ英語で、いい教育を受けていることを感じさせる。敵対するグループの人に対してはバカにしたり貶めたりするやつらばっかりの中、リフは敵ボスのベルナルド以外に対してはそういったガラの悪いことはしない。綺麗でお上品だね。じゃあなぜ非行少年グループなんかにいるんだろう。その一つの結論として、彼は叔父から逃げたいという理由でトニーの家に転がり込んできたと言う設定があり、そのトニーが非行少年だったこと、そして叔父がヤバイ教育パパ系だったり、あるいは片親アメリカ人でポーランド系への差別があったりとかしたのかなあと想像したりしている。こういった各キャラの過去やバックグラウンドは作中全く描かれないからもう想像するしかないんだけどね。