elkurin’s blog

銀英伝はいいぞ

Light Under the Darkness ~DTM自作曲1曲目~


Light Under the Darkness 【DTM】

(SoundCloudhttps://soundcloud.com/user-193952129/light-under-the-darkness)

DTMで作曲を始めてから1ヶ月弱、まともな曲としては1作目ができました。どんなことを考えて作ったか記録します。

曲のイメージはドラクエ11の登場人物ホメロスなんですが、ホメロスって誰だよという人に向けて端的にいうと「まっすぐで繊細であるが故に闇堕ちしたやつ」の心情をイメージしている曲と思ってもらえれば十分です。特にこのストーリーを描いたみたいなのではありません。

こういうイメージとか工夫しているところを音楽で伝えずに言葉にしてしまうのは野暮ったいと思うんですが、処女作なので自分の思考まとめとして書き下してみます。

 

最初の第一歩

物語が始まる感のある入りを作ろうと思ったのと、"Jesus Christ Superstar"というミュージカルの影響でロックギターの音が好きでロックギターで始まるオープニングをやりたかったので、とりあえず思うがままにギターを書いてみた。そしてオペラ座の怪人の序曲で「ダ、ダーン!」みたいなのをイメージしてオルガンの「ダ、ダダーン!」みたいなのを入れてみたら思ったより良かったので続きを書く気が起きて採用された。そして伴奏として僕お得意の「短調の中に長調の和音を入れまくる系」を追加して序曲感が出てきた。この辺から今のオープニングをベースにちゃんとした曲を作ってみようと思った。

メロディの生成

ちゃんとした曲を作るにあたって適当なサウンドじゃなくてちゃんと耳に残るような旋律を作りたい、と思ったがところで今までの人生変奏曲とか編曲ばかりでメロディらしいものを自力生成したことがないので困った。ロイドウェバー先生のスコアを買ってきて勉強しようとしたが、天才すぎて参考にならない。POP曲の作り方とかを検索していたら新しい概念を学んだ。ここで初めて「Aメロ」「Bメロ」「サビ」という概念を知る(遅くね?)。どうやらWikipedia先生曰く以下のようなテンプレがあるらしい。

  1. イントロ
  2. Aメロ
  3. Aダッシュメロ(曲調は替わらず、同じメロディーで別の歌詞)
  4. Bメロ
  5. 1サビ
  6. 間奏
  7. Aメロ
  8. Aダッシュメロ
  9. Bメロ
  10. 2サビ
  11. 間奏
  12. Cメロ(大サビと呼ばれることもある)
  13. 落ちサビ(サビと同じメロディーで、ドラムやベースを落としたパート)
  14. ラストサビ
  15. アウトロ

初心者なので先人に習って上のような感じで作ることにした。思い浮かんだ旋律を無差別に記録する「旋律の墓場」というファイルを作って詰め込んでいくうちにようやく納得がいったのが現在のAメロに当たるパート(動画でいう0:20-0:35)。でBメロっぽいパート(動画でいう0:36-0:50)を作ろうと思ってなんか展開力にかけるなあと思い、今度は先に和声展開を決めてからメロディ肉付けに試みる。ここの和声展開はオペラ座の怪人"Think of Me"の若干パクリで、イメージとしては「登り切りたいがちょっと登りきれない焦らし感」、より具体的には「憎悪の裏にある嘲笑に見せかけた迷い」みたいな感じで敢えて長調の和音を散りばめてみた。ここを作ってる時に、「あっホメロス叙事詩にしよ」って気持ちになった(当然ホメロスとはドラクエ11ホメロスです)。

サビ(動画でいう0:50-1:05)を作るのは、Bメロで曲のイメージや僕の中でのストーリーも決まったおかげか適当に歌ったり電子ピアノで思うままに弾いているうちにすっと完成した。

伴奏付け

基本的にノリと雰囲気でしかないんですが…。特筆すべきところを記録する。

グロッケンで最初から結構たくさんの場面でなり続けている「ソッレッミッドッレッシッドシラ」てメロディを曲の雰囲気や和音関係なくひたすらストイックに流し続けるみたいなのをやっている。このメロディは当然オペラ座の怪人のオマージュである(伝われ)。この音を馴染みやすいシンセサイザーとかの電子音にせずクラシカルで綺麗なグロッケンを選んだのは、僕的な(ホメロスの)繊細な感情を象徴したものです。この音は最後の方(動画でいう3:40-4:00)でも同じメロディで使われているんですが、音量もあげてより耳をつんざくような音に変えているのは、「まっすぐで繊細なものがそうであるが故に崩壊していく脆さ」みたいなイメージで作りました(ボキャブラリーがありません)。

あと、無理やり長調和音に合わせたり属7減7などを入れたりと結構素直じゃない和音を付けているので、聞いてる側を綺麗に誘導できるように自明な和音を鳴らす楽器を入れるように心がけた。

間奏(動画でいう1:06-1:20)のリズムと楽器はダンスミュージックっぽいものを使って、グロッケンの不動のメロディ「ソッレッミッドッレッシッドシラ」に合わせて綺麗さと歪さを演出しようとした。

Cメロ的な何か

ところで僕は変拍子が好きである。特に7拍子が好きである。n拍子からn-1拍子に変わる急く感じがとても好きである。当然7拍子を入れたい。今まで僕が作ってきた曲は必ずといっていいほどなぜか7拍子または5拍子が登場する。というわけでやっぱり7拍子が心から溢れ出てCメロを侵略してしまった(動画でいう2:08-2:36)。無理やり連れ出されるような転調や拍子変化が好きで、今回はそれを同時にやった。なので聞いてる側からも自明な変化になるようにシンプルなリズムにした。また、ラストに向けた展開力として音がだんだん重厚になる感じを演出した。

コーダの入り

コーダの入りパート(2:40-2:58)は一番心の迷いとか繊細さが露骨に出るパートとして、ドラムを抜いて楽器を3台だけにした。さらに不安定感を出すために前半は低音のベースを抜いて、後半から低音を追加することで闇感を出してみたよ。

メロディラインは実は以前習作として作成したDTM曲の一部が直感で浮かんだので使用した。このパートは、視覚的に説明すると束の間の広大な風景が見えてほしい感じだったので電子音系は使いたくなくて、また鉄琴系の音は被りたくなかったので、メロディラインの楽器を何にするかかなり思考錯誤した。結果、ポルカアコーディオンになった。他の候補としてはチェレスタが有力だったが、音質はいいけど一様な音になってしまうのが壮大さを妨害していて棄却された。

コーダ

コーダ(動画でいう2:58-3:40)ではマッシュアップ的なのをしたいというのが前からあった。というわけで今まで出てきた旋律を重ね合わせた。和声展開は当然異なるものを重ね合わせているが、なかなかうまく調和して満足している。序奏とAメロとサビと「ソッレッミッドッレッシッドシラ」が全部重なっている。ここでは今までグロッケンが紡いでいた「ソッレッミッドッレッシッドシラ」のメロディを敢えて電子音に引き継がせることで「一本通していたものを捨て去った」とか「迷いとの決別」とか「完全な闇落ち」みたいなものを象徴したつもりです。変化を表現する上で、他の序奏とかAメロとかサビとか全部今まで担当した楽器と異なるものを割り当ててみている。

最後

伴奏付けのところでも話したがグロッケンの音が耳をつんざくような音に変えて繊細なものが壊された時の痛さみたいなのを表現したかった。でも一番最後の音は綺麗なグロッケンの高い音で終わるのは、本質は変わっていないよってのと、救いを求めるような音として最後に響かせているつもり。

以上。

ちなみにコーダの入りで使ったっていう習作はこちらになります。

youtu.be