今日は会社を抜け出してお昼にMariage Frères(マリアージュフレール)のTea Clubというイベントに参加してきました。仕事中に飲む紅茶は美味いぜ
※ elkurin-daily-note 34日目です
参加するまで
こちらのサイトからコースを選択して応募し、先着○○名に間に合えば参加できます。私が今回参加したのは茶園へのいざないという様々な茶園から採れるシングルオリジンの紅茶を学ぶ回でした。
ご飯代やお茶代ではなく受講代と書かれているところからも学びに来ている感がありますね。
参加できる場合事前に招待状が届きます。なんか嬉しい。
当日の雰囲気
招待状を持参するとTea Clubの会場に通され、一人ひと席占拠させていただけます。
机には本日の講義の資料がおいてありました。
この冊子を開いてみると...
中身はからっぽ!自分でメモを取るんですね。受講しにきているので当然でした。
他に参加されている方々も当たり前のようにペンやノートを出しており、また一人で参加される方も多く、完全に昼間学校でした。実際にティーサロンをやってらっしゃる方とかもいたのかもしれませんね。
時間になるとTea Clubが始まります。
まさに授業のようにMariage Frèresの歴史の解説から始まり、流れるような話術でいつの間にか1つ目の紅茶の説明へ。舌が肥えてる方は舌も回るようです。この講義パートがかなり面白かったです。その後も講話・試飲をセットで繰り返していくのですが、講話では紅茶ごとに銘柄の説明だけにとどまらず、その背景や小話などを聞くことができ、はやく次の出せよ〜って気持ちには全然なりませんでした。
本題
では今日実際にテイスティングした紅茶について書いていきます。
注意:今日聞いた講話をそのまま引用しておりソースには当たっていません。自分の誤解・聞き違いなどで嘘や一方的な解釈が含まれるかもしませんが許してね☆(・ω<)
1杯目 ブルーム・フィールド
一番手はファーストフラッシュのダージリン。
オレンジ・バレーというダージリン地方の茶園の中でも標高の高いエリアの名前がブルーム・フィールドというそうです。(グレイス・フィールド農園となんかちょっと似てませんか?...失礼しました。)
ちなみにオレンジ・バレーという名前はもともとオレンジ畑だったところに由来しているそうです。そう思うとオレンジの香りがしてきませんか?と解説されていたのですが、素人には感じることができませんでした。残念。
透明度の高い黄金色の紅茶でかなり白茶などに近い色合いでした。味はやはり最高級のファーストフラッシュなだけあって美味しいですし自分好みです。
ところでダージリンと一口に言っても春摘み(ファーストフラッシュ)と夏摘み(セカンドフラッシュ)では相当違って、世に多く出回っている夏摘みのダージリンを想像して春摘みの紅茶を飲むと全然ちゃうやんけ!ってなりますよね。自分もなりました。
実を言うと、もともと「ダージリン」と呼ばれる紅茶はそんなに好きではなくてMariage Frèresのブレンドティーの方が美味しいじゃんって思ってました。そんなときにナムリング・クイーン・アッパーという春摘みのダージリンを父からの誕生日プレゼントとしてもらったのですが、自分にとっては初めての高級茶だったので値段を聞いてびっくりしましたね。父のほうが多分びっくりしてました。
高級茶だ!と思ってウキウキしながら家に帰って淹れてみたのですが、なんか味がしなくていうほど美味しくなくて、高いといってもレアなだけか…トリュフみたいんもんか…(流れ弾トリュフさんごめんね)って少しがっかりした覚えがあります。
ですがその後少しずつ調整しながら何度か淹れてみて、3,4度目くらいにめっちゃ美味しいファーストフラッシュのダージリンが飲めたんですよね。思えばあれが僕が最初に紅茶に凝りだした時かもしれません。あいつに財布から金をスられ続けています。
それ以降ナムリング農園の春摘みダージリンはベスト・オブ・ザ・僕の座を譲らず、今でもストックが切れるたびに入荷しています。
話が逸れちまいました。
春摘みと夏摘みは全然違うねという話に戻します。
もともとダージリンはイギリスのものという認識が一般的でした。そのためかイギリス流の紅茶で親しまれるしっかり発酵したザ・紅茶っといったものが作られ続けており、世に流中しているのも夏摘みのダージリンのみでした。しかし実際にダージリンの茶園に赴いてみると、地元では春摘みのダージリンも作られており、ただ売れないから世に出ていなかったそうです。Mariage Frèresのオーナーさんはその味を気に入りフランスならウケる!と思ったそうで、そこからファーストフラッシュの紅茶がフランスや日本で人気になったそうです。
面白いのは、フランスと日本は地理的に相当離れていながらも味覚が近いそうなんですよね。日本では緑茶という発酵しないお茶が親しまれていたので、そこが春摘みの感性と近いのかもしれません。(あとなんかモゴモゴ発音する感じも似てますよね。)
2杯目 八十八夜茶
お次は日本茶です。先程とは打って変わり、水出しのアイスティーで出てきました。
(写真は少し飲んでしまったあとです。)
八十八夜というのは「摘んでから88日目の夜に飲む」という意味で、できたてほやほやの新茶です。
訂正(2023/07/01):調べてみたところ、「(立春から数えて)88日目に摘む」という意味が一般的のようでした。おそらく摘んでから88日目というのは自分の聞き間違いだと思います。
実は新茶だったり新ワイン(ボジョレ・ヌーヴォ)だったり、「採れたばかりのなにか」を楽しむという文化は日本やフランスでは一般的な一方イギリスではそうでもないそうです。こんなところも日本とフランスの感性は似ているんですね。
飲んだ印象を一言でいうと、底抜けにみずみずしい、でした。アイスティーということもあり涼しさとか清涼感を強く感じました。瓜っぽい風味もあったのがさらにみずみずしさを加速させていましたね。日本茶というと苦味を感じることが個人的には多かったのですが、この緑茶は苦味控えめでとてもすっきりしました。
ところで、この緑茶は無農薬の茶園で作られているそうです。日本茶の農園は8割がた農薬が使われおり、ようやく出会った無農薬の農園もとなりの農園が農薬を使っているせいで茶葉から農薬が検出されてしまうなど、難しい環境だそうです。フランスでは紅茶は当然無農薬!という通念があるそうで、フランスの紅茶ブランドで日本茶を作るのも一苦労ですね。そんな中でMariage Frèresのオーナーさんが直々に出向いて探した無農薬の茶園で作られた日本茶ということなので、競合争いもあり農園の場所はシークレットとのことでした。
3杯目 マオリ・ローブルージュ
お次はなんとニュージーランドからの参戦です。発酵度80%程度の青茶です。
ニュージーランドに茶園あるんだ!というのが第一印象ですね。
実際作り始めたのは比較的最近だそうです。とあるひとがツバキが咲いているのを見て、お茶も栽培できるんじゃね?!とおもって始めたらほんとにできたという経緯だそうです。補足すると、茶葉ができるチャノキはツバキ目ツバキ科ツバキ属です。
青茶はものによって発酵度合いがまちまちで、10~80%の振れ幅があります。そのなかでも80%というのは紅茶にかなり近い分類ですね。実際紅茶のようなしっかりとした色合いが見て取れます。そういえば、Mariage Frèresの青茶はイメージを大切にするために青いお花などをブレンドして青色に見せることが多いのですが、今回はシングルオリジンということでもともとの色である赤の色味が出ていますね。
茶葉の香りはかなりスモーキーで、講話では「炒ったカシオナッツ」と表現されてました。表現力が段違いですね。
実際に飲んでみるとやはりパンチのある一口目で燻製茶っぽさを感じました。ですが、2口3口飲んでいるとだんだんまろやかさを感じるようになって、長く残る後味も強いがしつこくなくて満足感を感じる一品でした。
3杯目からはお料理と一緒に飲むということで、少し濃い目のお茶でも単独で飲んでいるときより軽めに感じるのかもしれませんね。(ところでお料理の説明はさっぱり覚えていないので、このブログでは飛ばします。ちゃんと聞いてはいたんですよ?)
4杯目 ロア・ドゥ・チェ・チュアン
名前の通り中国の四川省の茶園で摘んだ紅茶です。茶葉をよく見るとゴールデンチップと呼ばれる新芽がちらほらあります。ゴールデンチップって言葉は紅茶アドバイザーの資格をとったときに覚えましたね。語彙が増えると表現力の幅が広がって嬉しいです。
ザ・紅茶といった感じの王道に少しマロンっぽい香りがしています。モルトやウイスキーのような印象だと解説いただいたのですが、どちらも飲まないのでよくわかりませんでした。
このあたりはメイン料理を食べていたので正直印象が薄いです。料理のナッツがおいしかったです。
5杯目 キャッスルトン
締めはかの有名なダージリン・キャッスルトンの夏摘み紅茶です。
ところでなぜキャッスルトンがこれほどまでに有名になったのでしょうか?それは「虫を使ったから」だそうです。その由来は東方美人という台湾茶で、その茶園には虫がたくさんおり、虫に茶葉かじられることでそれに対抗するため葉っぱに栄養が増え、結果美味しい茶葉がたくさん出来たそうです。東方美人を参考にキャッスルトン農園は虫を人工的にコントロールするというアプローチをした最初の茶園だったそうなんですね。
1杯目の項目で語ったとおり自分はセカンドフラッシュの紅茶はそんなに好きではないのですが、ここで飲んだキャッスルトンは激旨でした。
春摘みで感じる木っぽさ(これがボキャ貧のマックスボキャブラリー)がキャッスルトンでも感じられファーストフラッシュの繊細さも兼ね備えながらしっかりとした味わいもあり、最後にふさわしいとても華やかな一品でした。
1杯目から進むにつれてだんだん文章が短くなってきている気がしますが、これは美味しくなかったからではなく文章力が枯渇してきたからです。
面白かったこと
一人でお茶や食べ物を楽しんでいる時、自分が感じている味覚・嗅覚を言葉にすることはあまりありません。美味しいお店に友人と行っても正直食事とはあまり関係のない話に花を咲かせているので、あっこれめっちゃ美味い!くらいしか言いません。
今回は講話という性質上、お茶の味わいや特徴を説明するために言葉を尽くした方の話を聞くという体験をしました。テイスティングノートにも一期一会の味わいを言葉にして残すためにさまざまな評価軸が提示されおり、今の自分では評価軸を与えられてもレーティングするための言葉選びがわからんなと思いました。自分の知っている感性を表現する言葉を手に入れるのはとても楽しいですね。
フランス流では、お茶の香り・味をお花やフルーツ、その他食べ物に例えて楽しむ文化があるそうです。言葉を自由に操れるようになると遊びが増えて楽しいだろうな。
おしまい。